工芸品の美しさは、道具であるがゆえに作者の存在が一歩控えたところにあることです。自己を抑えて素材と用途に寄り添い、最終的に使う人に委ねるのです。何事も大きな声で主張するよりも、静かに語る言葉の方が人の心の奥まで届くことはままあるものです。昨秋、北京の四時(season)で行った企画展を絞り込み、再び静かな器を作る5人の作家さんに集まって頂きました。静寂の中に感じる美しいひと時。しかし静けさは、時に雄弁でもあります。なぜならそれは使う側に、とてもソフトで優しい気持ちを引き起こすからです。主体は作品側にあるのではなく、それを受け止める側にある。今回の"pianissimo"の中から,あなたの気持ちを包み込む一品に出会えることを願っております。店主
参加作家
鯨井円美・境田亜希・櫻井薫・松田苑子・吉田香楠子